社団法人飯田青年会議所 理事長 熊谷 弘
日本人は、戦後、
経済の急成長により豊かな生活を享受することに成功した。
しかし
ひととしての「結い」のこころの大切さを忘れかけている。
そういう時代にもっとも必要なのは、
「何のために生きているのか」
という根本的な問いではないだろうか。
そして個々が
「何のためのJAYCEEであるのか」
「何のためにJCは存在するのか」
もう一度考えてほしい。
まずそのことに真正面から向かい合い、
自らの「生き方」を問い直し、
自己を律し
高い「見識」と「胆力」を習得し
組織としての「存在意義」の
強固たる「思想」を確立する。
「世のため、人のため」という思いこそが、
48年間受け継いできた「志」である。
そして何がなんでも「明るい豊かな南信州」を
実現させるという強い「志」が
『
として脈々と私たちの胸の中に宿っている。
今こそ、
ひととしての正しい生き方を志し、その生き方を社会に示し
純粋な「結い」のこころで
ひとを思いやり、感謝する気持ちを忘れず
この南信州の夢ある未来のために、
そして我々が愛する家族・愛しい子どもたちのために
率先して“汗”を流し、
精進して行こうではないか!
『
~南信州進化論~
JCは「ひとづくり」「まちづくり」の両輪で、48年間事業を展開してきました。「まちづくり」といえば「社会開発」すなわち「市民意識変革」運動であります。それでは市民の皆さんの意識をどのように変革していったらいいのでしょうか。創立40周年ビジョンに提唱した「ぼくらの夢1=一生を全うしたいと思える地域」、いわゆる自立した「郷土愛」溢れる南信州人が一人でも増えることが私たちの夢であります。
しかし、我が国は現在、戦後最大の借金と先進国で最大規模の財政赤字を抱えております。国の借金も800兆円を超え、国民一人当たりでは650万円余の借金です。今後更に、この地域においても人口減少、少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少によって財政が悪化する問題もあります。更なる改革が必要だということは誰でも感じていることでしょう。第一に国民の生活や国家の存続を考えるべき国会では、与野党のねじれ現象・政治家の不祥事等で国民も政治離れが進み、この愛する日本の将来にも不安を多く抱いている今日です。私たちが何かしたところで世の中は変わらない。世間からそんな諦め感も伝わってきます。JC宣言にも謳われているように、いつの時代でも、どこの社会にも混沌はあり、それを切り拓き、確かな時代を築くことができるのが、私たちJCの役割です。過去は変えることはできません。しかし未来は私たちの手で変えることができる。その未来こそ、今この瞬間をどう行動するかで変わるのです。この南信州から国を変える、そんな強い気概が必要なのです。
「この南信州でいま問題・課題になっていることは何か」(現状分析)
「南信州に住んでいる人は、将来何を望んでいるか」(市民意識調査)
「その事業によってどのような成果が得られるか」(事業効果の見通し)
「その事業は、飯田JCの強みを発揮できるのか」(組織特性の発揮)
など自問自答し、JCにしかできない「まちづくり」を常に事業展開してきました。創始のころと比べ、専門的なNPOやNGOが多く誕生している時代だからこそ、数多くの市民との対話を通じて、研究・分析を重ね、志高く、JCだからこそできる「まちづくり」を展開することで、南信州の未来を大きく動かすものだと確信いたします。
世界経済に大きな波紋をまねいたサブプライムローン問題から端を発した株価の大暴落は、日本経済の収益面における貿易に関しても大きく影響し、国内においても未だ先行き不透明な閉塞感を感じる状況であります。また、日本の良き伝統を受け継いできた企業にも、日本の主食でもある米を扱う企業にも不祥事が相次ぎ、目先の利益だけ追いかける経営者の指導力の欠如、企業としてのモラルの欠如が多く報道されています。このままでいいのでしょうか。
日本経済を支えているのは、この国の9割以上を占める中小企業です。まさに中小企業がかつての活力を取り戻すことなしに、日本経済の再生はあり得ないのです。私たち青年会議所メンバーはこの南信州を拠点とした、この地域の核となるビジネスリーダーとして、この地域の活性化のために、自社の繁栄、従業員の幸福に全力で努める責任があります。現状の延長線上には中小企業の発展や栄光もなく、現状を真摯に受け止め、打破し、思い切った経営の革新に取り組むことが急務とされております。業績不振を景気や従業員のせいにしている暇はありません。経営者が変われば、そこに働く従業員の意識も変わり、企業は進化します。企業が変われば、この南信州も変わるのです。
この南信州は、86%が森林に囲まれた自然あふれる地域です。天竜川を中心として中央アルプスと南アルプスにも囲まれ、日本一の谷の中で、人々が伝統文化と共に生活してきました。そして、現在のビジネスにおいて、欠かせないキーワードの一つに環境が挙げられます。京都議定書の定める我が国の温室効果ガスの削減目標は-6%でありながらも、達成困難な状況であります。この現状、また日本の置かれている状況・本質を我々はもっと知るべきです。イースター島のモアイ像のように、環境破壊は、素晴らしい文明の遺産までも破壊する恐ろしい危険性もあります。それを回避して行く為にも、環境を通じた国の政策を知ることが重要です。
愛する南信州が、経済的な自立を成し遂げ持続可能な社会を実現するには、私たち若きビジネスリーダーの英知と情熱は不可欠であるといっても過言ではありません。企業モラルの確立・環境配慮は大前提のもと、地域社会から信頼を得られる説得力のあるビジネスリーダーの確立と自立した経済の創造が必要です。メンバーを中心として他団体とも共有しながら、経営者として、リーダーとしての資質の向上を図ると共に、経済的に自立できる南信州の実現に向けて事業展開します。
平成の大合併により、全国3232の市町村が1820まで減りました。地方行政における経済合理性だけを追求した市町村合併は、本来の市民が生活していく為に、何が必要かという本質を見落としている気がしてなりません。この地域はどうでしょうか。81の市町村で成り立つ長野県の中でも、この地域には、15の市町村が今でも存在します。その中には、公民館活動の充実からまちづくり協議会を設立した、ムトスの精神溢れる飯田市や、協働により財政健全化に成功した下條村など、既にローカルコミュニティーが昔から存在している地域です。しかし、都市一極集中が益々進む中、地域間格差がさらに加速している現状もあります。この地域に限界集落はいくつあるのか、過疎地域に暮らす住民に不安感はないだろうか、そして何よりもこの地域に住民はどのような夢や希望を描いているのだろうか。国と地方の在り方を真剣に問う本質的な議論を喚起していかなくてはなりません。
その地域に、1975年に開通した中央自動車道以来大きな社会インフラでもある、三遠南信自動車道やリニア中央新幹線がこの飯田下伊那を中心に実現されようとしております。まさに広域的な、戦略的なまちづくりが必要であり、隣接している浜松・豊橋、また駒ヶ根・伊那を視野に入れながら新たなる南信州を創造する時がきております。関東大震災の復興プランを手掛け、現在の東京の原形をデザインした元東京市長である後藤新平は、「人と人の繋がりがうまく機能することで、世の中が発展する」という独特の思想を今から 150年前に描いていました。まさに(社)飯田青年会議所の先人たちが培ってこられた『
我々は社会・市民のリーダーとして、そこには「燃え上がる情熱」「高き志」「明るい笑顔」「自信溢れる行動力」がなくてはなりません。そこから沸々と湧き上がるパワーが、市民を引き付け、地域・行政を動かす原動力になるのです。新たなるグランドデザインを創造する過程で、南信州の研究を重ね、行動することで私たちの活動エリアである南信州の新たなる協働(ネットワーク・パートナーシップ)を構築していきます。
日本人は、とても穏やかな性質の民族です。圧倒的に平和主義で、優しく、自然と調和しながら生きてきました。その昔から育まれてきた気質こそが、南信州人の「結い」のこころだと思います。「結い」とは、近くの人々が協力し合って田植えや稲刈りを行う行為のことです。そこには常に、相手を思いやるこころ、皆で支え合うこころ、すべてに感謝するこころが存在しています。その最小限のコミュニティーが家族であり、「結い」のこころの原点が「家族愛」です。どんな時代でも一生懸命生きてこられた先祖からの“いのち”の繋がりで家族が形成され、各々が役割を全うし、支え合うことで感動が生まれ、「家族愛」へと繋がります。しかし今、「家族愛」が希薄になり、家庭の崩壊までもが起こっています。報道では、毎日のように、子が親を殺す・親が子を殺すなど信じられないニュースが流れます。全世界では、飢えによって“いのち”をなくす子どもたちもいる中、日本人の多くの子どもたちが自ら命を絶つ悲しい現状です。なぜ日本人はこのようになってしまったのでしょう。私たち大人は、「何のために生きているのか」「“いのち”の繋がりの大切さ」をしっかり伝えているのでしょうか。これから先、力強く未来を切り拓く力を持った子どもを育て、その子どもたちへ“いのち”のバトンを繋げていくのは私たちの役目です。自分たちだけが楽をして、楽しく過ごせたらいいやという生き方ではなく、前の世代に感謝し、次の世代に思いを馳せましょう。
私たちJAYCEEは青年会議所のメンバーである前に、一家庭人であり、一企業人であり、一地域人です。それと同時に、子どもを持つ世代であり、親となる世代です。まずはその責任を誰よりも強く認識し、大人が子どもに伝えるべきことを間違えず、率先してその重要性を社会に訴えていかなくてはなりません。「結い」を紐解いていくと、この南信州の歴史・文化が解ります。誇りある南信州人の「結い」のこころを学び、家族・家庭を中心とした思いやり運動を展開することで、今忘れかけている南信州の人々に「結い」のこころを発信していきます。説得力ある大人の背中を見せ続けることが、今のJAYCEEに求められている最大の責務です。
2001年、750LOMで60,000人という会員が在籍していました。この年、(社)日本青年会議所でも、組織の在り方を考え、「新世紀の組織ビジョン」として、個人と組織の進化プロセスの重要性と進化体への脱皮が謳われております。進化体とは、変革を志向するメンバー一人ひとりが、自ら変革を成し遂げることによって進化していく組織であり、さらに地域にも直接の影響を与えることができる組織のことです。
私たちJCは、次代に責任を持てる世代で構成されています。これからは、さらにJCの外に対して、私たちの思いを発信すると共に、同世代の様々な団体とも交流し、市民との対話を大事に幅広く理解を深めていく活動をしなくてはなりません。私たちが「変革」「進化」することで、組織が変わり、事業が充実します。
今、組織としての(社)飯田青年会議所の改革が急務となっております。創立50周年を目前に、55周年、また未来に向けての問題・課題を抽出し、時代と共に変える必要があります。我々が引き継いできたJCの思い全てをブラッシュアップさせ、48年間の歴史の中で構築されてきた委員長を中心とした委員会の充実と活性化を図り、会員の意識変革・運営改革・対外事業改革等を一年間かけて見直して参ります。まさに(社)飯田青年会議所内部に向けた運動の展開です。通年だから何となくではなく、我々の今後のビジョンに対して有効であるのか、一つひとつの事業に意識を向け、その過程をしっかり学び、検証していきます。存在感ある組織にするには、選択と集中が不可欠であり、メンバー全員が自己を律し、お互いを思いやり、組織としての目的達成のためにコミットしなければ成し得ません。この改革と共に、JCだからこそできる事業との両輪をもって、しっかり機能することで公益性を見出すことができ、公益法人として魅力ある組織に進化するものだと確信します。私たちJCが時代と共に変革することが、この南信州を変える一助に繋がっていくのです。
JC運動の中で、唯一メンバーが一堂に集まる場所はどこでしょうか。それは自由で自発的な意思により加入した一人ひとりのメンバーが月に一度集まる例会です。例会は、我々メンバーの自己啓発の一助と共に、我々の活動を対外に発信する重要なツールでもあると考えます。今年度例会では、(社)飯田青年会議所の全体の方向性、一年の流れの中でJAYCEEとしての個々の存在意義の確認ができる場として、メンバー同士の交流を深め、メンバー全員一丸となれる組み立てをしていきます。例会の充実が、委員会を繋ぐ固い絆、各委員会を繋ぐ太いパイプとなり、例会を作り上げた気持ちの高まりが組織の活性化に伝播し、さらにはこの南信州に響き渡るものであることを忘れないでほしいのです。
また事業においても、行政・企業・多くの市民と一緒に取り組むことを前提として、研究を重ねJCにしかできない事業展開を行います。各委員会の事業の総まとめとして、“IIDA JC AWARD”という形で、発信して参りたいと思います。関わった方々、市民と共に1年間行った事業を振り返ることで、更なるJCの「まちづくり」の展開を検証すると同時に創立50周年ビジョンの骨子を発信していきます。
現在のメンバーのどれだけが、JCという組織に誇りを持っているだろうか。本当の魅力を感じているだろうか。ビジネスに置き換えても、自社に誇りを持ち、商品に自信がなければ、商品を売るにも説得力を持つことはできません。この私たちが所属しているJCという組織も、会員拡大にも同じことが言えます。まずは私たち一人ひとりが「明るい豊かな南信州」の実現に、心から共感を覚え、志高く、情熱的に、JAYCEEとして、経営者として、親として、そしてこの世に生れてきた一人の人間として、今を精一杯駆け抜ける姿を求めます。
会員拡大の結果は、我々の運動に対する社会の評価であるとも言われます。活動エリアである15市町村において、JCの枠を超え、地域の活動を地道に積み上げることから、地域社会からJCは次代のリーダーを育成する重要な組織であると、改めて認識していただくことができるのです。一人でも多くの方に声をかけ、例会・事業に参加していただき、私たちの思いを伝えてほしいのです。多くの同志が集まることで、明るい豊かな南信州の実現に近づくものだと確信します。今こそ、全員で取り組む、JCプライドの伝播こそが、会員拡大の成功への近道です。
(社)飯田青年会議所も半世紀を迎えようとしています。混沌とした中から「未知の可能性」を引き出し、確かな時代を築こうとしている今だからこそ、私たちの前に広がる可能性は無限大です。今こそ自己を律し、『