社団法人飯田青年会議所
理事長対談
理事長対談  阿南町 佐々木暢生町長
 

理事長対談  阿南町 佐々木暢生町長

■阿南町の魅力
 
 理事長:町長も三年目となられますが、実は3年前の阿南町町長選の公開討論会は、伊藤商工会会長よりお声掛けを頂き、開催準備から当日まですべて私がアドバイスさせて頂きました。弊社の会社に来て、私の講義を熱心に何時間も聞き、見事会場を満員での公開討論会をみて、阿南町の民度は高いと改めて感じたところです。その時から、町長の熱い想いは感じておりますが、町長の考える阿南の魅力とは何でしょうか?
 
 町長:「素朴」と「自然」でしょうかね。
これは個々の価値観によって異なるが、今、この中山間地が疲弊しているにも関わらずIターン・Uターンが増えてきているのは、今の人たちの価値観が変わってきているのではないかと思います。その様な面からも、この魅力を更に伝えていく事だと確信しています。素朴と自然はこれからの価値観として出てくるものだと思います。
 
 理事長:今の日本を見ますと、昭和48年のオイルショック以降の物づくり日本を再編できず、市場主義というか輸出産業をメインとする大企業への投資をした結果、金融大国を作り上げ内需がおろそかになってしまった。そして、今の世界恐慌で一番のダメージを受けているわけです。子供達も昔の素朴さが無くなり、地域の行政運営も厳しい昨今だと思います。 
 
 町長:今の阿南の課題は、過疎と少子化です。 
理事長のおっしゃる通り、このような課題が発生したのは、日本の政策がもたらした大きな問題だと思います。昔は、林業や農業といった第一次産業で生活ができたのに、戦後の経済復興により、市場経済主義に走り、金だけを取り上げる時代にさせた結果が、今の少子化、高齢化の問題に繋がっているものだと思います。福祉に関しても財政難になっています。昔は、子供を親が真剣に育て、親が年を取ったら子供が面倒を見るのが当たり前の世界だったものが今は違います。子供の養育費等は、国が見るもの、高齢者の福祉は国が見るもの、行政が見るもののような雰囲気になっております。経済の振興に伴い、政策が間違っていた証拠だと思います。親の面倒など見ないということは、個人の責任の放棄です。 
 
 理事長:確かにそうですね。日本人として、また人としてこの世に生を受けた以上、親の面倒を見るのは当たり前ですし、今の世の中では、自分の利便性だけ考えていて、自分の親でさえ面倒も見ず施設に預けるなど「OMOIYARI」に欠けていると思います。この14市町村を見ても多くの老人施設はありますが、阿南町には少し違った観点での福祉村の計画があります。そのことに関して少し教えてください。 
町長:国に関しては今述べてきたとおりですが、この阿南において今後は、いかに住民同士が支えあって生活するかが重要です。4村が合併して昨年50周年を迎えたが、和合に関しては高齢化率60%以上で、ある集落だと100%という所もあります。とても厳しい状況で、更に加速して一昨年には孤独死もありました。都会にいる子供たちの誘いもあるが、ここに住む住民のほとんどが、生まれ育った地域で終世を迎えたいというのが本音であります。90歳になって都会に行っても、友人もいないわ、自然はないわで合わないわけです。そこで自治体として、安心して生活できるようにするために福祉村を考えてきました。サポートに関しては、地域の住民がしております。国民年金で生活できる仕組みが「福祉村」なのです。 
 
 理事長:第一次産業の復活ではありませんが、三遠南信サミットの時にもある村では、年金プラス100万という発想も出ておりましたが、すでに和合の福祉村では、年金プラス50万の考えを実施してされているわけですね。今でさえ騒がれている地産地消にもつながりますし、何よりも自分で作った農作物を孫などに食べてもらえる喜びや希望が生きていく中で励みになりますよね。 
 
 町長:どの家庭でも農業に関わっている者のあきらめ感が出ていました。しかし少しでも年間で稼げることが、生きがいに繋がり、健康維持に繋がる。作ったものは必ず売れるという仕組みを行政が考えていくことに力を入れています。   理事長:民間の方や農協、行政の方々で作っている「信州あなんトータルマーケティング」がそれですね。売れる仕組みを作り上げることにも期待したいですし、地元も子供たちが福祉村の方々と交流することも、今後の阿南にとって重要だと思います。それは、文化が阿南は祭りを通じて素晴らしいからです。世代間の交流をすることで、高齢者の方や子供たちにとっても地域にとってもプラスになると思います。福祉村、とても新しいモデルになると思います。 
 
町長:早くて夜中0時から始まる盆踊りで、BGMもなく肉声の音頭取りで、小学生も中学生も役割があって村民みんなで踊り明かすこの文化は、財産です。高校を卒業して都会に行っても、夏休みには帰ってきているのです。幼い頃からの故郷の価値観があるのでしょうね。また地域との絆も深いのかもしれません。この青年期を育った故郷のことを忘れず、また戻ってきて生活してくれる一つのきっかけが祭りを通しての価値観であり定住に繋がるかわかりませんが、今後も大切にしていきたいと思います。かけがえのない価値観を人間として引き上げることが重要だと思います。 
 
理事長:情報化社会が発達している中で、親子間、地域の方々とのコミュニケーションが不足し、さらには崩壊しつつあります。また、現在の学力社会の中で、子供たちは塾などで平日でも外で遊ぶ時間もないほどの忙しさに追われており、それだけで社会に出ていい人間として成長できるかと疑問もあります。この文化を中心にしながら、祖父や祖母と触れ合う中で、いろいろ教わることがありますし、家族愛から郷土愛に繋がると思っています。さらに地域を超えた中で、14市町村間で文化に触れる、交流しあえれる仕組みがあるといいと感じております。

■定住自立圏構想に関して 
 町長:定住自立圏構想では、企業誘致を期待している。各町村でそれぞれが誘致するのではなく、中心市が中心となって南信州全体で企業を誘致する。そこに町村から通うスタイルを構築して、全体で定住人口が増えることができればいいと思う。お互いが協力しあい、まとまって行っていくことで大きな波及効果もあると思う。これからは、地方の時代、大きなチャンスがあります! 
 
 理事長:阿南の若者たちに飯田市が中心市という意識はありますかね。
 
 町長:ないと思いますよ。
 
 理事長:これからのまちづくりは、リニアの駅ができる可能性のほかこの地域において多くの可能性があります。ですから、一つの町村だけを描くのではなく、この14市町村を人工衛星からみた、20年後のあるべき姿をこの地域の若者達と夢を語り、グランドデザインを描いていきたいと思います。

■JCに対する期待
 
町長:定住自立圏、リニア、三遠南信自動車道も含めて、青年会議所の皆さんや若い皆さんがこの地域をどうしたいのかという夢がなくては将来を描けないと思います。ですから皆さんの今回の取り組みは大事な事だと思います。夢を多く語り合って、この地域の発信源になってほしいです。期待しております。

理事長 熊谷 弘
2009年6月30日掲載
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